お酒で記憶をなくすのはなんで?お酒で記憶が飛ぶのは病気かも!?
飲み会の次の日に「やばい…昨日何をしたか全く覚えていない…」ということありすよね。そんな時は誰かに迷惑をかけてしまった可能性もあるから「会社に行きづらい…」なんてこともあるでしょう。
今回はそんな「お酒で記憶をなくす」という症状について解説していきたいと思います!お酒で記憶をなくすメカニズムや記憶をなくさないようにする方法などについてまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください!
もし、あなたが頻繁にお酒で記憶をなくすのであれば、病気の可能性もあるので注意が必要ですよ…
目次
お酒で記憶をなくすメカニズムとは?
お酒を飲むと記憶をなくしてしまうメカニズムについて理解するためには、まずは人間の記憶について軽く学んでいきましょう。
実は、人間の “記憶” には2種類あることをご存知ですか?「短期記憶」と「長期記憶」というものがあるんです。
「短期記憶」とはその名の通り “短い間の記憶” のことを言います。例えば、友達と会話している時に自分が言ったことや友達が言ったことを覚えていることを短期記憶と言います。
友達が言ったことを20分後とかに忘れてしまっていたら会話になりませんよね?私たちはこの「短期記憶」という能力があることで友達と会話を楽しむことができるんです。
ただ「短期記憶」は “脳内のメモ” のような物で “いらない記憶” や “重要ではない記憶” と判断されると捨てられていきます。
しかし、短期記憶の中で脳内にある “海馬” という部分から「この記憶は必要だ」「この記憶は重要だ」と判断された記憶については “側頭葉” という部分に書き込まれていきます。
海馬”によって側頭葉に書き込まれた記憶のことを「長期記憶」というんです。この機能があるおかげで、私たちは何年も前のことを覚えていることができます。
また、脳が「短期記憶」と「長期記憶」に分けているのは “脳内のメモリーのパンク” を防ぐためだと言われています。
すべての物事を脳内に止めておくと脳がパンクしてしまうので “必要な記憶” と “必要ではない記憶” に選別をするんです。
人間はこのようなメカニズムであらゆることを “記憶” することができているんです。
そして、お酒を飲むとあなたの記憶を司っている “海馬” が麻痺してしまうんです。そうなると、短期記憶が海馬によって書き込まれなくなり、長期記憶として残しておくことができなくなります。
なので「あれ?昨日どこで飲んだんだっけ?」「昨日何をしたんだっけ?」みたいな感じで “お酒で記憶がなくなる” というような現象が起きてしまうんです。
この現象のことを一般的には「アルコール性健忘症」「ブラックアウト」「一時的な記憶障害」などと呼んでいます。
記憶をなくす時は血中アルコール濃度が関係している!?
また、お酒を飲む量によって「記憶がなくなる」という現象が起きるかどうかが決まってきます。というのも、ある一定の飲酒量を超えないと “海馬が麻痺する” という現象が起きないからです。
その目安は以下のようになっています。
血中アルコール濃度が0.05%未満の場合
血中アルコール濃度が0.05%未満のときは、飲酒量の目安としてだいたい「ビール中びん(~1本)」「日本酒(~1合)」「ウイスキー・シングル(~2杯)」ぐらいの量だと言われています。
この量のお酒を飲んだ場合は、大脳皮質には影響が出てきますが、記憶を司る海馬は正常に働いています。
ただ、「思考・判断・自己抑制」などを司っている大脳皮質に影響が出ているので、陽気になったり判断力が鈍ったりします。
血中アルコール濃度が0.05%以上の場合
大脳皮質の働きがさらに低下し、理性よりも本能や感情が強く働くようになります。飲酒量の目安としてだいたい「ビール中びん(1~2本)」「日本酒(1〜2合)」「ウイスキー・シングル(3杯)」ぐらいの量だと言われています。
一言で言うと「ほろ酔い状態」という感じです。
血中アルコール濃度が0.1%以上の場合
酩酊が始まって、先ほどよりもさらに大脳皮質の働きが低下します。そして、本能や感情などを司る「大脳辺縁系」の働きが優位になります。
なので、本能や感情に左右されることが多くなり、怒りや悲しみなどの感情の制御ができなくなってきます。
飲酒量の目安としてだいたい「ビール中びん(3本)」「日本酒(3合)」「ウイスキー・ダブル(3杯)」ぐらいの量だと言われています。
血中アルコール濃度が0.15%以上の場合
さらに強い酩酊状態になり、運動能力や平衡感覚を司る「小脳」が麻痺してきますので、まっすぐ歩けなくなって千鳥足になります。
飲酒量の目安としてだいたい「ビール中びん(4〜6本)」「日本酒(4〜6合)」「ウイスキー・ダブル(5杯)」ぐらいの量だと言われています。
血中アルコール濃度が0.3%以上の場合
泥酔状態になり、ここで「海馬」が麻痺して働かなると言われています。長期記憶をすることができなくなるので、翌日に「昨日何してたっけ?」と記憶がなくなるというような現象が起きます。
飲酒量の目安としてだいたい「ビール中びん(7〜10本)」「日本酒(7合〜1升)」「ウイスキー・ダブル(1升)」ぐらいの量だと言われています。
血中アルコール濃度が0.4%以上の場合
ここまでくると、生命機能を維持するための延髄なども麻痺して呼吸が止まることがあります。立って歩くことはできないような状態で、酔いつぶれて昏睡してしまいます。ゆり動かしても起きないような状態です。
もちろん、ここでも「海馬」が麻痺しているので長期記憶をすることができずに、記憶がなくなるというような現象が起きます。
飲酒量の目安としてだいたい「ビール中びん(10本以上)」「日本酒(1升以上)」「ウイスキー・ボトル(1本以上)」ぐらいの量だと言われています。
お酒に強い・弱いという個人差も関係してくる
上で紹介したものはあくまで目安になります。「血中アルコール濃度が0.3%以上」になると記憶を司る海馬が麻痺するとは言われていますが、お酒に弱い体質だともっと早い段階で記憶がなくなってしまう方もいます。
なぜなら、お酒を飲んでから血中アルコール濃度が何時間後に何%になるかは、体格や肝臓のアルコール処理能力などによって違いがあるからです。
上の目安量以上にお酒を飲んだ人で「記憶がしっかりしている」というような人もいます。
もし、あなたが「お酒で記憶をなくしたくない」と思うのであれば、上の目安を参考にしてもらうことも大事ですし「自分の目安」を作ることも大事ですので覚えておきましょう。
お酒で記憶をなくす人は注意が必要!?病気の可能性も…
頻繁にお酒を飲んで記憶をなくす人は注意が必要です。なぜなら、そのような人病気の可能性もあるからです。疑われる病気とは「アルコール依存症」と「アルコール性認知症」です。
まず「アルコール依存症」についてですが、ストレスや不安を解消するためや、気分を改善するために、アルコール飲み続け徐々に飲む量が増えていき結果として依存症になります。
このように、ストレスなどが原因の後天的な理由から「アルコール依存症」になる方もいますが、遺伝的な理由から「アルコール依存症」を発症してしまう方もいます。
実は「アルコール依存症」の3人に1人がアルコール依存症の親がいるか、アルコールを乱用するような親がいると言われています。
そして、「アルコール依存症」についてはよく聞く病名だとは思うのですが、「アルコール性認知症」はあまり聞きなれた方はいないと思います。
アルコール性認知症とは、アルコールを大量に飲み続けた事によって、「脳梗塞」「脳血管障害」「ビタミンB1欠乏による栄養障害」などを起こした結果起こるとされている認知症です。
この病気は高齢者だけではありません。今では若い世代でも見られます。症状としては「物忘れなどの記憶障害」「歩行が不安定」「意欲・やる気がなくなる」などがあります。
お酒を飲んでも記憶を無くさないようにする方法
では、次にお酒を飲んでも記憶を無くさなようにする方法をご紹介します!ただ、お酒で記憶を無くさないようにする確実な方法は「お酒を飲む量を減らす」ことです。
ここで紹介する方法はあくまで「記憶を無くしにくくする方法」ですので「これをすれば記憶がしっかりするんだ!」と勘違いしないようにしてくださいね。
アルコールの分解を助けるものを食べよう!
最初に紹介するのは、アルコールの分解を助ける食べ物です。これらの食べ物を飲みながら、もしくは飲む前などに食べれば肝臓などがアルコールを分解するのを助けてくれるので記憶障害に有効です。
まずは、つまみとして定番の「焼き鳥」「刺身」「枝豆」「冷や奴」です。これらの食材には “動物性たんぱく質” “植物性たんぱく質” などが豊富に含まれています。
これらの栄養は肝臓がアルコール分解するのに必要な栄養なんです。つまみとして定番になっているにはそのような理由からかもしれないですね!
そして「ナッツ類」「ネギ」「ニラ」「にんにく」なども肝臓がアルコールを分解するのに必要な「ビタミンB1」「ビタミンC」「ビタミンE」などの栄養が豊富に含まれているので記憶障害に有効と言えます。
海馬の活動を活発にする「サフラン」を食べよう!
サフランとは、「ヨーロッパ」「トルコ」「イラン」「中国」「アルジェリア」などで栽培されていて、3000年以上前から「香辛料」「着色料」「香味料」として幅広く利用されてきた調味料です。
このサフランには “クロシン” という記憶を司っている海馬の活動を活発にしてくれる効果があると言われています。なので、お酒飲む前にサフランを食べておけば記憶障害に有効だと言われているんです。
サフランが使われている料理には「ブイヤベース」「パエリア」「リゾット」などがあります。これらの料理をお酒を飲む前に食べると良いでしょう。
ただ、サフランは高級スパイスで希少なものなので、それらの料理を食べる前にサフランが使われているかどうかを確かめた方が良いと思います。
また、サフランは「精神安定剤」「鎮静剤」「睡眠薬」「抗うつ薬」としても利用されることがあります。
水分補給をしっかりしよう!
お酒を飲んで酔っ払っている状態は “脱水症状” に陥っているとも言えます。なので、血中のアルコール濃度が上昇するのを緩やかにするためにも水分補給が大事です。
水でも水分補給としては有効なのですが、血中のアルコール濃度を下げるという点では “トマトジュース” がオススメです。
なぜなら、お酒を飲んでいる時にトマトジュースを飲むと、血中のアルコール濃度が低下するだけではなく、体内からアルコールがなくなるのが50分ほど早くなるという研究結果があるからです。
この研究はアサヒグループホールディングスとカゴメがおこなったもので、動物実験でも人体実験でもトマトジューがお酒の酔いがまわるのを防いでくれることがわかっています。
一般的なお酒を飲んでいる時の水分補給といえば “水” だと思いますが、これからは “トマトジュース” を積極的に飲むようにしましょう!
そうすれば、酔いがまわるのを遅くできるし、酔い覚めも早くなるし、記憶がなくなるのを防ぐことができるかもしれません。
よくあるお酒の疑問にお答えしちゃいます!
最後にお酒を飲んだ時によくある疑問について回答していきたいと思います!
Q1 : なんでお酒を飲むと眠くなるの?
これまで解説してきたようにアルコールは脳や神経の働きを低下させますが、この時の脳がリラックス状態に近いんです。脳の働きが低下することもそうですが、アルコールは “セロトニン” という物質を分泌させます。
セロトニンには不安や恐怖などのネガティブな感情を抑えて、気持ちを鎮静化させるたりストレスに対抗するような効果があるんです。
なので、お酒を飲むとリラックス状態を作って眠気を誘うんです。また、アルコールによる体温の低下も眠気を誘う理由とも言われています。
お酒を飲み始めた時は体温が上昇しますが、次第に低下していきます。人間には眠りにつくときに脳などの体の機能を休めるために体温を低下させるシステムが備わっています。
お酒を飲んで体温が低下していくと、脳が「眠るのか」と勘違いをして眠る準備を始めてしまうんです。
Q2 : なんでお酒を飲むと何回も同じ話をする人がいるの?
私たち人間の “短期記憶” を司っているのは「前頭前野」です。短期記憶はまず、前頭前野に溜めてから海馬によって残す記憶と残さない記憶に選別されていきます。
お酒を飲むと、比較的早い段階で前頭前野の機能が麻痺します。そうなると、短期記憶がうまくできないようになり「この人にはこの話をすでにした」という記憶ができなくなるんです。
だから、お酒を飲むと何回も同じ話をする人がいるんです。あと、「思考・判断・自己抑制」などを司っている大脳皮質に影響が出ることも関係しています。
「同じ話を何回も同じ人にするのは失礼だ」「相手に迷惑をかける」などの思考や判断がつかなくなるんです。その結果「自分の話を聞いてほしい」という欲求がストレートに出てしまい、何回も同じ話をしてしまうんです。
Q3 : なんでお酒を飲むとしゃっくりが出るの?
お酒を飲むとしゃっくりが出る理由については諸説ありますが、有名な理由は「急な温度変化」と「お酒の飲み過ぎ・食べ過ぎ」です。
そもそも、しゃっくりとは “横隔膜の痙攣” が起きている状態です。「急な温度変化」と「お酒の飲み過ぎ・食べ過ぎ」によって、胃や横隔膜に近い臓器などが刺激されることで “横隔膜の痙攣” が起きてしまうんです。
お酒を飲んでいる時にしゃっくりを止めるには「耳の奥に指を入れて30秒間キープする」という方法があります。びっくりするくらいしゃっくりが止まりますので、ぜひお試しください。
Q4 : なんでお酒を飲むとおしっこに行きたくなるの?
答えは単純です。お酒にはコーヒーなどと同じように “利尿作用” のある成分が含まれているからです。また、お酒を飲むことで体温が低下することも、おしっこに行きたくなる理由の一つだと言われています。
Q5 : なんでお酒を飲むと頭痛がするの?
お酒を飲むと、アルコールが肝臓で分解されていきます。そして、その時に “アルデヒト” という成分が発生します。アルデヒトには血管を拡張させる作用があるので、その拡張した血管が神経を圧迫することで頭痛が発生すると言われています。
また、二日酔いで頭痛が起きる場合は、アルコールによる利尿効果で必要以上に水分が失われることで起きる “脱水症状” が頭痛の原因だと言われています。
Q6 : なんでベロベロに酔っ払っていても家には辿り着くの?
お酒を飲むと “短期記憶” や “長期記憶” が困難になることは解説しましたが、実は “過去の記憶が使えない” というわけではありません。
脳には “ナビゲーションニューロン” という神経細胞があるんです。あまり聞きなれないかもしれませんが、この細胞は「いつも通る道」などの視覚情報に対して「ここは右に曲がる」といったような指示を出してくれるものです。
いつも行っているような「習慣的な行動」や「ルーティーン」などは “体が覚えてくれている” というような状態ということです。
そして、このナビゲーションニューロンは “頭頂葉” という場所にあるのですが、この場所がお酒に強いんです。
なので、前頭葉や海馬が麻痺して “短期記憶” や “長期記憶” が困難な状況になっても「家までの道のり」などは体が覚えてくれているので、家には帰ることができるんです。